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【トレンドランナー】「定年後」の心、ケアへ「夫婦が定年後を幸せに過ごすために、効果的に話し合う方法を模索するワークショップを開きたい」と意気込む斎藤さん
定年が視野に入った夫と、その妻の心のケアに関心が高まっている。背景に定年後の夫婦中心の生活に不安を抱いているケースが少なからずあるためだ。(小池俊幸)
団塊夫妻の不安、2人で解決を…都内NPOの試みNPO法人「家族のこころのケアを支援する会」(東京・大田区)の理事長で「ファミリー・セラピスト」の斎藤利郎さん(71)は、3年ほど前から大量退職時代の象徴となっている団塊の世代の夫婦を中心に「定年後」を意識した夫婦の相談に力を入れている。
斎藤さんは、妻か夫のどちらか一方から持ち込まれた相談でも必ず、二人に同席してもらい、事情を聞くことを大切にしている。
斎藤さんによると、定年を境に夫婦二人で過ごす時間が長くなることは、家族の形態として一つの大きな転換期と指摘する。時として大きなストレスになることもあり、定年前に夫婦の関係を再構築することが肝心と強調する。
相談の傾向としては、例えば、夫からは、自立しようにも技術がないので自信がない、先が見えないなど、会社の看板がはずれることへの不安、妻からは定年後のあり方について夫との考えとズレが生じているといった内容が多いという。
シニア夫婦は、相互扶助をよりどころに物事を対話で決定することに比重を移す必要があることから、「妻は夫に従うべきだと固定観念で接したり、夫 に対して、取りえも何もないといった態度で臨むのは距離を広げるばかりだ。相手をパートナーとして尊重して向き合うことが大事」と話す。
対話の一歩として、例えば夫は「君から見て、僕はどう見える。君はどんな考え方で生きてきたのだろう」などと、リラックスした雰囲気で心を開くことを提案する。
また、定年3年前から、定年後の二人の資金の使い道、夫婦で実現したいことなどのプランを話し合い、共通の土台に立つことも勧める。
夫婦が違う方向を見ていたら、お互いの心が離れてしまうからだという。
斎藤さんは、日米の大学で教育学や心理学を学び、牧師としてキリスト教系の中学校で数十年、不登校の生徒へのカウンセリングにあたってきた。
60歳で、家族に起因する問題に悩む人のそばで同じ目線に立って支援したいと、カウンセリングの研究所を設立。認知症の高齢者の介護で悩む家族、子どもに当たりがちな親の相談にあたってきた。
4年前には、子育てや介護など幅広く家族の問題に対応できる相談員を育成したいとNPO法人「家族のこころのケアを支援する会」を立ち上げた。
斎藤さん自身、妻と二人暮らし。食事や掃除は手の空いている方が順番に行うことに決め実行している。
最近、夫婦二人で暮らす知人が話していた言葉が印象に残っている。「『夫と一緒にお風呂に入ろうと思って待っていたら、なかなか来ないので、どう したのって聞いたら、恥ずかしいと言っていたわ』。これを聞き、ほのぼのとした気分になりました。何の駆け引きもない自然な夫婦が一番ですね」と笑う。
<メモ>ファミリー・セラピスト
日本語で家族相談士と訳される家族援助のカウンセラーのこと。カウンセリングは一般的に個人を対象にするが、ファミリー・セラピーは基本的に家族全員を対象とする。家族全員で自分たちの問題を解決するための心の援助をする。
(2007年3月15日 読売新聞)TITLE:
DATE:2009/02/09 22:43
URL:http://job.yomiuri.co.jp/news/special/ne_sp_07031501.cfm